エイラ・シリーズ完結編

エイラ・シリーズの第6部「聖なる洞窟の地」(上・中・下)を読んだ。完結編である。
エイラはジョンダラーの故郷に落ち着き、大ゼランドニーの侍者となって、修行に励む。そして、召命を受けていよいよゼランドニー(霊を司る人)になる。その間、ジョンダラーと離れていることも多く、彼は昔の恋人と付き合いを再開し、それを見つけたエイラは自暴自棄となり、生きる自信を失いかけて、ひょんなことから霊の世界へ迷い込んでしまい、戻れなくなってしまう。死の一歩手前で、それを聞いたジョンダラーが放浪先から跳んで帰り、必死に彼女を介抱して、何とか現世に呼び戻すことに成功する。
エイラがゼランドニーになることは、本人も望んでいたわけではなく、それまでの特別に変わった生い立ちや素質の良さ、経験の深さを大ゼランドニーに見込まれ、なるべくしてなったという感じで、それに伴う犠牲というか、あたら波風の立たない平穏で幸せな生活から一転、人を霊の世界へ導く厳しい指導者へと踏み込み、成長していく過程がつぶさに書かれ、感動を呼ぶ。
終わりに最愛の連れ合い、ジョンダラーと仲直り出来て、めでたしめでたしとなりホッとしている。
このエイラ・シリーズは全巻に渡って大勢の人達が出てくるが、それぞれに特徴のある人物像がていねいに描かれ、また太古の世界の生活空間の描写や自然描写もすばらしかった。
改めて作者のジーン・アウル(1936年、シカゴ生まれ)に敬意を表する。また訳者のご苦労もよくわかる。(白石朗 訳)
エイラのピーンと一本筋の通った生き方、生命力、力強さに大いに感化されてきた。
私はこのエイラ・シリーズの余韻に浸っており、しばらくは他の本を読む気がしないでいる。 (了)