漢字さまざま

1 侍について
 「侍」“サムライ”が宙に舞っている。WBCの優勝(V2)、誠に目出度い。
 「侍」って何で寺に人(にんべん)なのだろう。
 辞典では、人と、音をしめす寺(ジ・シ)とを合わせて、貴人のそばにつかえる意を表す。(形声文字) 「侍」の意味は、はべる、目上の人のそば近くつかえる、とある。
 大体「寺」そのものが、手(→寸)と音をしめす止(→土。シ)とを合わせて、しごとをする意。ひろく、しごとをするところ、役所の意に用いる、とある。
 仏教が伝わってからは、外国の僧の宿舎に寺があてがわれ、それから僧の住む所を寺といった、そうである。
2 優について
 人が憂えると優れた人に見られるのか。また、人は憂え、悩まないと立派な人にはなれないのか。
 これも形声文字で、人と、音をしめす憂(ユウ)とを合わせて、仮面をつけた舞人・わざおぎ(役者)の意。のちに、ゆたか・まさるの意に用いる、とある。
3 愛について
 「愛」で人が切れるのか。歴(れっき)とした戦国武将がよく「愛」などという甘っちょろい言葉を標榜し、兜にまで飾り立てて居れたものと驚く。
 「天地人」の直江兼続の生き様をとっくりと観ていくこととしよう。
「慈愛」の精神では敵を作らないし、また作れない。何があっても相手に対してあたたかい気持で接し、人を傷つけたり出来る筈がない。戦場におもむく兼続の複雑な心境やいかに、である。
                                     (了)