呼吸

生きていく上に一時も欠かすことの出来ない「呼吸」という文字について考えてみる。
「呼吸」とは「息の出入り」をいう。「すったりはいたり」のことであり「吸」が「すう」なのだから「呼」には「はく」意味があるのかと調べてみた。「呼」は「まねく」「引き寄せる」とあり、「はく」ような意味はどこにもない。「呼気」となって初めて「口の外へはき出す息」となり、「呼吸」の片割れらしくなる。
本来の「はき出す」という意味を文字に当てはめてみると、「吐」(と)がある。この意味は「中から出す」ことで「煙を吐く」にも使われているから、この場合、「吐吸」(ときゅう)とすべきではなかったか、と思った。しかし、「吐」は「口の中のものを外に出す」意味も合わせ持ち、イメージ的に芳しくないと考えて、新たに「呼」という文字を呼び込み、「息をする」時だけ用に「呼吸」と造語したのであろうと推測している。
「吐息」もちゃんと意味を持っていた。(といき)と読み「ため息」の意味である。今更「吐吸」では息がつまってしまう。
まあ、そんな小さなことどうでもいいではないか、KY(空気読めない)だなどと言われる前にこの辺で止めておこう。でも「呼吸が合わない」、「演技の呼吸を覚える」(コツ)、「一呼吸おく」等と日常に良く使われている。
閑話休題、空気の良いところへ行って、思いっきり深呼吸がしたいものだ!  (了)