手帳

先週、職場の皆さんと一杯飲んだ帰りに、電車の中で手帳を取り出して、あれこれとやりくり算段していたところ、そのまま寝入ってしまったらしく、ハッと気がついた時には電車が丁度、北柏に着いていた。それっとばかりに直ぐにカバンを小脇に抱えて飛び降りた。家に帰り着いてから、手帳がないのに気がついた。あの取手行きの電車の中に忘れてきてしまったようだ。悔やまれたが別にカバンを忘れたわけでもなく大したことはないとあきらめることにした。
まだ半年は残っているのに、これからどうしようと迷ったが、去年の手帳を引っ張り出して間に合わせることにした。余白があまりない。後ろについている住所録も写しかえるのが面倒と古いものをそのまま替えて使っていたので、マッサラで全く意味がない。数年前の手帳に挟んであったものを見つけ、主要な事項を写し取って何とか間に合わせた。先々の計画もあまりなく、職場の3ヶ月計画表を見れば何とかなる。
でも後のほうにびっしり書き込んである「川柳」のページがもったいなかった。今まで投稿してきた分とこれからの分とがごちゃごちゃ書いてあるのが全部パー。新規巻き直しである。これまでとダブったりしないか心配となる。
数日後のある日、妻から「松戸の警察署から留守電に、お父さんの落し物が届いていると入っているよ。」と言われた。 やったー、手帳が届けられている!!
そういえば、自分の住所も電話番号もしっかり書いてあるし、金目のものは入ってないし、それに後のほうの「川柳」あたりが効いたのかな、とこれはかんぐり過ぎである。
早速に翌日、職場を若干早引きして松戸署へ向かった。事前にネットで道順は調べておいたので迷わなかったが松戸駅からたっぷり20分はかかった。国道6号線沿いの松戸トンネルを越えた先にあった。こんな不便なところによく建てたと思ったが柏の現在の警察署も似たようなものではないか。
落し物窓口は2階の会計課にあり、身分証明書(免許証)と印鑑でくだんの手帳が返ってきた。拾ってくれた人に何か御礼でもしようと聞いてみたら、駅員から直接届けられたのでその必要はないと言われた。一度あきらめていたものが返ってきて、やはり嬉しい。帰りがけに松戸駅前で「ミスタードーナッツ」のお店に入り、一人でお祝いをした。    (了)