金美齢女史の講演

金美齢女史の講演録を読む機会を得た。台北生まれ、高校卒業後、留学生として来日、早稲田大学で学び、大学院博士課程まで終了後、英ケンブリッジ大学客員研究員を経て、台湾総統府国策顧問、JET日本語学校校長、現在はその理事長を務め、日本在住48年にもなる親日家というよりも愛日家の人である。10年世話になった早稲田大学に20数年、非常勤講師としてお礼奉公している律儀な人である。
日本の現状について、この方の言われる正論が胸に響く。
「人間の基本というのがあるのです。自分がどういう人生を送ってきて、誰のおかげで何のおかげで自分が今ここにあるのか。今ここにあるのは、どういう人たちの助けによってここに来ていて、それならば私はどうするべきかという軸がしっかりしている人、言うならばまっとうな人間。これは信用に値する人です。」
「戦後62年、20世紀の前半はひたすら富国強兵、日清日露に勝って思い上がりました。自分の国の本当の姿というものを見誤りました。1945年を境に、今度は180度転換、自虐史観。前半が行き過ぎなら後半はもっと行き過ぎです。これは日本人の最も反省しなくちゃならないところなのです。戦争には負けたけれども日本人が2000年にわたって培ってきた日本の歴史であり、日本人のビヘイビアであり、日本人が持っている素晴らしいものというのは一朝一夕で無くなったわけではない。」
「(自虐史観外交は)それをさせているのは皆さんです。国民に責任がないとは言いません。政府というのは国民の程度に見合う政府しか持てないのです。国民というのは自分のレベルに見合う政府しか持てないのです。今こうやって、首相を消耗品みたいに使い捨てにして、皆さんは日本は良くなると思いますか。」
「日本がこういう風になっていくのは皆さん一人ひとりの責任なのです。官僚の責任だけではない、行政の責任ではない、政治家だけの責任でもない、政府というものは皆さんがつくるものなのです。日本は美しい国です。自然に恵まれた美しい国です。問題はそこに多くの美しくない人が住んでいるということなのです。
一人でも自らが国のために何ができるのかということを真剣に考えていけば、そういう人は少しずつ減っていくと思っています。そういう人を許さないという厳しさが必要なのです。日常生活でも。まず、自分が率先して、日本人であるとはどういうことなのか、この国に生まれたということは実にラッキーなことなのだという、そういう基本的な認識をまず皆さんが自覚して、それを周りの人、次の世代の人に伝えて下さい。」       (了)