説得力

人はなかなか言うことを聞いてくれない。3月31日の読売新聞の“くらし、学び”欄にいい記事があったので切り抜いておいた。「熱血主将 粘りの説得」と標題がついている。ある中学校の女性教諭の投稿記事である。
「B太は、部活の練習ではいつも一番に体育館に来る。中学2年生になり、キャプテンとしてチームを率いることになった。
B太は、思っていることを正直に口に出してしまうタイプだ。「もっと声を出せ」と部員を盛り上げる努力をよくする一方で、カッとなると「ふざけんな」「ばかやろう」といった言葉が飛び出し、けんかになってしまうことも。熱いB太と、他の部員との温度差をどう解消するかが、部活における最大の悩みだった。トーナメントの大会で事件が起きた。強豪チームを倒し、みなが喜んでいる時に、主力メンバーのほとんどが、「明日の試合には出られない」と言い出したのだ。勝ち進むとは考えていなかったので、用事を入れてしまったという。その時、B太が声を発した。「来てくれよ。おまえらがいなきゃ勝てない」 けんかにならないか心配したが、この日のB太は説得し続けた。部員たちはじっと聞いていた。子どもたちに任せ、私は見守ることにした。翌日、私は主力メンバー抜きのチーム編成も用意していた。ところが「用事がある」と言っていた部員たち全員試合会場にやって来た。話を聞くと「きのうのB太の言葉がうれしかった」という。結局、試合には負けたが、ベストメンバーで臨むことができた。 この事件をきっかけに、チームの雰囲気が変わってきた。練習中、声を出す部員が増え、みなでキャプテンをもり立て始めた。B太も「カッとなった言葉では気持ちは伝わらない。そのことが少しわかってきた」と打ち明けてくれた。話し合い、ぶつかり合いながら、子どもたちは少しずつ成長していくのだと感じた。」
いつもガミガミと口うるさく説教じみた喋り方をする御仁は特に気をつけたほうがいい。周りは「馬耳東風」で、「説得力ゼロ」と評価されてしまいます!   (了)