山本ファミリー

先の8日、体育の日に大網白里アリーナのこけら落しに尺八の人間国宝、山本邦山が特別出演した。地元のギタリスト、高谷秀司氏と懇意だという。都山流尺八千葉県支部もこれを支援、一曲参加することとなった。曲目は邦山師作曲の「扇」、尺八だけの3部合奏で、有志17名が事前の下合せを2回ほどやり、本番に臨んだ。会場は体育館に仮設のステージをしつらえ、観客席は階段式で1,000名近くは入れる素晴らしいものだ。
堂本暁子千葉県知事のご臨席を得た。この町は5万人程の規模ながら、何と席は満杯で大人気である。(入場料は千円)
さて、初っ端に出演した私達の本番の出来は上々で、邦山師から直々にお褒めの言葉を賜わった。この会は、山本邦山師の古希の祝いも兼ねている。山本邦山、それに奥様の山本雅楽邦、そして子供達4名総出演(つまり山本ファミリー)での演奏が始まった。長男の山本真山は44歳、尺八の音色は既に親父様と肩を並べる位うまい。次男と長女は琴の師範第、そして三男は尺八の師範の他、俳優を目指しており、彼の語りは正に堂に入ったものであった。それぞれ小さい頃から父や母に尺八、琴の教えを受けており、皆が大成していることに驚かされる。山本邦山・真山親子による秘曲「鶴の巣籠」が特に良かった。めったに聴けない出し物である。尺八の掛け合いの音色の見事さに改めて聴き惚れた。
高谷氏のギターとの共演は、やはり邦山師の尺八が光り、ジャズ風の曲目を次々と流れるように軽快なさばきで熱演し、観客をうっとりとさせた。約3時間に及ぶ演奏会は盛会裏に終わった。堀内町長がこのアリーナを造った成果を嬉しそうに話していたのが印象的だった。町の財政難の中、あれこれと批判を浴びていたらしい。元は例の竹下さんの1億円の創生事業に端を発しているとの事で、こうした地方に文化の花が開くのを心から期待し、また大いに支援していきたいと思った。
(了)