生きる

9/9(日)、テレビ朝日で秋のドラマ特別企画「生きる〜黒澤明・珠玉のヒューマン物語〜」、松本幸四郎主演を観た。いろいろと考えさせられる。まず人間、あと半年の命と医者から宣告されたら、何をするか。彼は何か、自分に出来る事、生きていた事の証(あかし)を求め、生きているうちに、世の中のためになるものを何か成し遂げようと真剣になった。あと半年、こうしたきっかけが人を突き動かしたのだ。それに対し、相も変わらず世間一般の動きは鈍重である。「お役所仕事」とはよく言ったもので、組織の一員としてがんじがらめに縛られ、とに角変わった事はやりにくい。毎年、同じことの繰り返しなのである。出る釘は打たれる。「大過なく」任期を終えられればそれで良し、なのである。
松本幸四郎の演技が光る。脇役も北村一輝、ユースケサンタマリア、西村雅彦、渡辺いっけい岸部一徳等、錚錚(そうそう)たる人達で固め、臨場感ある場面を作り出している。若い女の子役の深田恭子深キョン)がまた、いい役をやっていた。身近にもこうした例がある。隣人のKさんは、医者からあと半年も持たない、と言われながら、黙々と団地内の植木の剪定に精を出されていた。この映画とダブるところがあり、今更ながらKさんの心境を思うと胸が痛む。
私もあと何年生きられるか、先のことは分からないが、何かをやり残そうとおもう。生き甲斐を見出すのが一番ということか。  (了)