読めない漢字

たまたま「帝国タイムス」(17.10.5版)を読む機会があった。“東京秋の産業特集”版である。一面の下方にある「透視線」欄をまず読んだ。「苔が最近見直されている。…発祥は人間よりもずっと古く、今から四億年前に大地に最初に上陸した生命が苔類であり、苔が大気を酸素で覆ったとも言われる。…苔は生育するので土壌を必要とせず、乾燥に強い種でもある。しかも苔は二酸化炭素の吸着性能に優れているといわれているうえ、他の植物と違い、一度取り込んだ二酸化炭素は枯れても大気中に放出しない特性を持つ。」成る程、成る程、と読み進んでいく内に「今まで観葉植物などと違い、一般には見向きもされず虚仮にされてきたが、…」で「なにっ?虚仮?」でハタと止まってしまった。早速、漢和辞典を引っ張り出したが、「虚」の部首がわからない。切り口を変えて「仮」のニンベンで当たってみた。音読みで「ケ」「カ」、訓読みで「かり」とある。「キョカ」「キョケ」「キョカリ」と考えながらハタと気がついた。やややっ、これは「コケ」だっ!今度は国語辞典で調べてみたら「こけ」→「虚仮」があり、その意味として①うそ。いつわり。②ばか。白痴。とあった。何だか自分がしっかりと「コケ」にされてしまった感じである。
そう言えば、「苔」と「虚仮」を掛けるあたり、洒落が利いていて、書いたご当人は、ご満悦のことであろう。締めくくりに「虚仮の一念」とまで入っている。文章の流れから「できることからやっていこう」という意味らしいが持ち合わせの辞書には出てなかった。
漢字は難しい。これを常用している国民として、言葉、漢字の勉強は欠かせない。若い人も大変だと思った。           (了)