モノ造りと品質管理

sadoji2005-10-03

「自動車関連産業からの国際化と異文化交流」の中から、モノ造りと品質管理について抜粋して取り上げてみることとする。
「日本は天然資源があまりありません。あるのは山と川と、人間が住んでいるだけということで資源が殆どないものですから、材料を外国から輸入してそれを加工して販売する、こういうことが日本の生きる道です。」
そして、数をたくさん作ったらものが安く作れるということで、とに角、数をたくさん作って豊かになって、何でもある世の中にしたいと思って、敗戦後頑張ってやってきました。
一方、アメリカの品質管理の大家デミング博士が昭和25年に来日して講演したのが、日本の品質管理の夜明けです。
「原材料・プロセスが全く同じなら、全く同じものしかできない。何かが違うからバラツキが生まれる、違う物ができる」というのが一番基本の考え方です。
「良い物をお客さんに渡す、悪い物は検査ではねる。従って悪い物は捨てるしかないので品質水準を高くすればする程、不良品が多くなって、コストが高くなる」とずっと後まで、アメリカあたりはこの考えから抜け切れなかった。ところが品質管理を真面目にやると、検査で不良をはねるだけではないんですね。何かが違うから違う物(=不良品)が出来たと思えますから、不良品は違いを見つけ出す大事な手がかりです。必死になってみんなが探すことになります。そうやって良くしていきますから、不良品を作らない作り方に変わっていきま
す。今まで100個作ったら10個ほど捨てていたのが、100個作ったら99個が良品で、お客さんが満足して使える物になる。そうすれば安くなるのは当然のことです。
他の国々は「品質を良くすると安くなる」という発想に中々なれなかった。日本は、この先生を信奉して、一生懸命やったため、一番早くそこに到達したんですね。このような急速な品質管理の進歩は昭和35、6年の頃に始まっています。」
「モノ造りは、たくさん作れば安くなるということでしたけれども、だんだん皆さん、何でも持ってたくさん食べられて、ということになってくると、何か人と違うものが欲しい、人と違って自分なりの物でありたいと。こういうふうな時代になって参りました。」 (了)