時代の証言者

防衛大学校1期生として、創成期から自衛隊とともに歩み、冷戦後は、海上自衛隊のトップとしてペルシャ湾に機雷掃海部隊を派遣、国際協力を担う新しい自衛隊の扉を開けてきた。佐久間一・元海将が「国の守り」を語った。
こうした書き出しの解説付きで、読売新聞の「時代の証言者」欄に、この8月9日から、19回に及ぶ連載として掲載された。
これまで考えられなかった快挙であり、私は毎回、楽しみに読み、その全てを切り抜いて、大切な保存版とした。
佐久間一(さくままこと)氏は、1935年(昭和10年)、神奈川・横須賀市生まれ。防衛大学校を卒業後、海上自衛隊に入隊。護衛艦「みくま」艦長、佐世保地方総監などを経て、89年、防大卒として初めて海上幕僚長に就任。その後、自衛官最高位の統合幕僚会議議長に。93年6月退官。自衛官初の防衛庁顧問となった。
記事の中から、すこし抜粋してみよう。
自衛隊は何のためにあるのか。自衛隊のためではなく、国のためです」。
「命令と任務を与えられてから準備するのでは、国民と国家に対し無責任だ」と、イラククウェートに侵攻したニュースを聞くや、すぐさまME(中東=ミドル・イーストの略)プロジェクトを編成し、防衛庁のOBから「昔だったら首だよ」と言われました。
93年7月1日、退官の日を次のような言葉で締めくくった。「自衛隊の任務の高さ、尊さは、我々を無視しあるいは非難する人々を含めたすべての日本人の平和と安全を守るということにある。(中略)常に問題意識、イニシアチブを持ってあらゆる問題に対応し得る周到な準備と心構えを持ち続けていただきたい」。
先輩から教えられた「分を守り、分を尽くす」という姿勢は、軍事組織にとっての鉄則と考えています。
全19回、9月2日までに渡る連載の最後は、このように結ばれている。   (了)