犬を追いかける

昔の日記を紐解いて、娘(M)にまつわるエピソードをひとつ、読み返してみよう。
日付はH3.2.23で「ルンペンと犬」と表題がついている。
「今どき、北柏駅に風体のみすぼらしいオジさんが住み着いている。いわゆるルンペンというやつだ。この寒空によく耐えて生きていけるものだと感心させられる。
この世の中、恥も外聞もかなぐり捨てて生きていくだけなら、以外とやっていけるのかも知れない。
さて、昨日、Mから聞いた話。
朝、学校へ行く時、北柏駅で例のルンペンが大事そうに持っていたクリームパンを段ボールの上にちょっと置いておいたすきに、犬がそれをくわえて逃げていった由。
オジさんはあわてて追いかけていたので、Mも一緒に犬を追いかけてやったとか。
オジさんは、すぐにあきらめてしまったが、Mは自転車だったので、どんどん後を追いかけていった。
犬の方は、駐車場の隅まで逃げ込んでホッとした様子で、パンを地面に置き、さあ食べようとしているところを丁度見つけたが、犬と目と目が合い、その犬の表情を見て、かわいそうになり、そのまま帰ってきてしまったとか。
皆で、その話を聞いて大笑い。
よく、オジさんを手伝って追いかけてやるよ。それにしても犬の方にも同情して、そっと帰ってくるとは中々気のやさしい子だ!
登校時にこんな道草を食っているのも、丁度、予定の電車には間に合わず、次の電車まで間があったからだそうだが、計画通り、時間に合わせた生活ができるよう活模範で示して指導していく必要がある。
注:あいまいな情報でこの一文を書いてしまったが、クリームパンではなくロールカステラで、登校時ではなく下校時に丁度、Mは自転車で通りかかり、下り坂でパチンコ屋の駐車場まで追いかけたとのことなので、ここに付記して訂正しておく。」
活発でちょっぴり、おせっかい焼きで、なおかつ優しさのある、Mらしさのよく出たエピソードとして、今でも忘れられない。              (了)