忘れ物

先日、出勤途中で財布を忘れてきたのに気付いて、北千住駅から折り返した。出掛けに一回、時計を忘れて戻っている。玄関の鍵はかけないで出てくるので財布までは気がつかなかった。しかし、第二の職場に勤め始めてから8年になるが、こんな事は初めてであった。
財布がないと小銭もテレホン・カードもなく、携帯を持っていない私としては家への連絡手段もなく全くのお手上げで情けなかった。これで家人が出掛けてしまった後だったらどうしようと心細いこと甚だしい。
さて、どこで何に頼ろうか。駅員へ10円貸して欲しいと頼み込む考えがまず浮かんだが、一番オーソドックスなのはやはり交番だろうということで、北柏まで戻って、駅前交番に駆け込んだ。
事情を話すと、「この電話を使っていいですよ」と机の上の黒電話を貸してくれた。
慌てていたのだろう、息子の家の電話番号にかけてしまい、嫁が「ハイッ」と出た。しまった、と「家にかけようとして間違えてしまった」と断り、かけ直した。
今度はかからない。もう一度かけ直したが留守電になってしまう。やれ困った、と娘の携帯へかけ直したらやっとつながった。「今どこ」と聞いたら「家にいるよ」と答えた。
「何で電話に出ないんだ!」と怒ってみたが内心ホッとした。
早朝から曇り空だったがいよいよポツポツと雨が降り出してきた。
家から職場へ電話して、午前中を半休とした。疲れた。
早速、カバンの中に小銭の210円を予備としてしまった。
私は誰だろう、これから何をしようとしているのか等とニッチもサッチもいかない場面に遭遇しないようにしっかり気をつけよう。老人力花盛りはまだ早い!    (了)