言い回し方

今朝方、結婚式前で何かと忙しい娘と妻は、起きしなからペチャクチャと会話が絶えず、私はやむなく一人で自分の朝食(パン食)の準備をし、黙々と食べた。
食べ終わって、片付ける時に一言、言ってやった。
「お箸が使われないでスゴスゴと元の場所に戻っていったよ。」
我が家の箸入れはキッチンの蛇口の傍に置いてあるのだ。
そしたら妻がやっと気がついて、「あヽ、おかずが出なかったということね。今から何か作ろうか」と言うから、「いヽ、いヽ」と軽く受け流した。
まあ、通常は、私が食事の準備をしていると、サッと要領良く、おかずが一品は出されるので、タマには省略されても気にはならない。ことを荒げない言い回し方に我ながら満足している。
ところで、私が朝の会話に全く加わっていなかった訳ではない。出かけて来るまでの僅かな間に、四字熟語で盛り上がった。まず私が「馬耳東風」と言ったら、娘が「それ、何?」と知らない様子。それから妻が「呉越同舟」を使っても娘はまたも「意味がわからない、どんな字を書くの?」と聞く。
私もまた、「お母さんは“四面楚歌”だ。」と言ってやった。
日頃、フランス語の他、日本語の“てにをは”にも一家言あり、薀蓄(うんちく)をたれる御仁にしては弱い所もあるのだな、と思った。
例の通り、「知らないからといって恥じる事はないよ。これらを自分のものにするのが大切なのさ。」と締めくくっておいた。  (了)

岩波四字熟語辞典

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