“唇に歌を”

昔、歌声喫茶がよく流行っていた。ロシア民謡などを女学生達がそこここで声を合わせて歌っていたものだ。今もカラオケで自分の得意とする歌を聴かせるような歌い方はするが、皆でコーラスにはもるようなことはあまりしていないようだ。
身近に手軽に皆で合唱する楽しさはカラオケの狭い空間では生れない。
先日、同窓会があり、最後は一本締めで終ったが何かもの足りない感じがした。仲間としての絆を確かめ合う何かが欲しいと思った。あとで思いついたが、あの場で校歌なり逍遥歌なりを歌うといった昔を偲ぶよすがの一時があればよかった。
もっと身近に、生活の中に歌の世界を取り入れていきたいものだ。キリスト教の賛美歌は本当にいい。歌うことによって心の中が洗われるように清清しくなる。
そういえば、先日、懐メロを一緒に歌うバスツアーをテレビで観て、これだっと思った。歌いたくても歌詞をすっかり忘れてしまって、となるがその気になれば、何かを紐解けば歌詞ぐらいすぐに見つけられる。
もっと、明るく活気のある世の中に感じたいと思っている。“唇に歌を”がその解決の一助になるのではないかという気がする。    (了)