邦楽的思考

私の思考過程は邦楽によって育まれた。学生の頃から尺八に熱中、習った楽譜もどっさり、手元にある。音楽に国境はなく、洋楽も民族楽も楽しめるが、何せ尺八、琴、三味線の世界にどっぷりと浸かっていたもので、その音曲が体に染み付いてしまった。邦楽的思考とはどんなものかと聞かれても答えにくいが、純日本的なのである。武士道に通じる剣道をやっていたお陰も多分にあるかとも思う。義理人情に厚く、あまり裏の裏を読んだり、駆け引き、図太い生き方等には向かない。それが純日本人的かと言えるかどうか、少なくとも私はそのように理解している。単純明快がいいではないか。
邦楽といえば、まず春の海、それに六段、千鳥くらいしか知られていないが、琴、尺八の先生方は現在も営々と新しい感覚で新曲を作り、発表されている。中に素晴らしい、心に沁みる曲に出くわす。決して喰わず嫌いにならないよう願いたいものである。近く、5月22日(土)にはまた、2年に1度の演奏会が千葉の文化センターで開かれる。私も4曲ほど出演する。今回の曲は誠に現代的な楽しい曲が2つと、あとは尺八本曲である。他も新曲が多く、現代人受けすること間違いなしであろうと思われる。今からこの日の都合を空けておいて、是非、聴きに来て戴きたいと思っている。もちろん、入場無料である。               (了)